今回は「バドミントンのジュニア時期の練習・トレーニングはスキャモンの発達曲線から考える」という内容で書いていきます。
バドミントンのジュニアを指導する上で指導者や保護者が理解しておいた方がいいと思うのが「スキャモンの発達曲線」です。
あまり聞きなれない言葉ですが子供が成人になるまでの成長を4つに分類したグラフで、ゴールデンエイジ理論などの元にもなっています。
それではバドミントンのジュニア時期のトレーニングについて書いていますので、参考に読んで見てください。
バドミントンのジュニア時期の練習・トレーニングはスキャモン発達曲線から考える
スキャモンの発達曲線とは
「スキャモン発達曲線」は発達心理学者のスキャモンが人間の成長を4種類に分類して、子供が成人になるまでの発達段階を表したグラフです。
例えば体格を決定づける「一般型」は骨や筋肉の発達を表し、0~3歳で急激に変化が表るのが第一次成長期ですね。
13~17歳の中学性から高校生あたりで、身長が急激に伸びたりする第二次成長期として知られています。
「生殖型」は第二次成長期で発達する時期になると、男子は男性らしく女子は女性らしく成長を遂げていきますね。
「神経系」は言語や感覚器官と運動をコントロールする10歳までに、成人とほぼ同等に成長をとげることを表しています。
もちろん一般的な人の成長を表しているので個人差などがありますが、ジュニアがどの年齢でどの領域を最も伸ばせるかということです。
スキャモンの発達曲線にある「神経系」に注目すると、小学生の内に神経系の発達を促すトレーニングが大切になりますね。
スポーツにおいてバランス感覚やリズム感など、力をさほど必要としない体の使い方では比較的に低年齢で発達します。
小学生の低学年では筋力トレーニングやハードなスピード・パワーの練習より神経系の発達を促すトレーニングをした方がいいですね。
スピード・パワーが発達する時期に神経系統の発達を促すトレーニングをしてもさほど効果が得られないということになります。
強い衝撃や反動を支えたりするパワーは第二次成長期にトレーニングをすることで効果が得られるわけです。
つまり「バドミントンの技術が身に付きやすい時期」と「スピード・パワーが身に付きやすい時期」の2つの時期あるということですね。
サッカーの論文などに書かれている「ゴールデンエイジ理論」といえば、多少は聞いたことあるのではないかなと思います。
それではゴールデンエイジ理論とバドミントンのトレーニングについて解説していきます。
ゴールデンエイジ理論とバドミントンのトレーニング
ゴールデンエイジ理論はスキャモン発達曲線を元に言われている理論で「プレゴールデンエイジ」「ゴールデンエイジ」「ポストゴールデンエイジ」3つの時期に別けて考えられています。
プレ・ゴールデンエイジ
一般的にプレ・ゴールデンエイジと呼ばれるのは5歳~8歳頃の小学低学年の時期で、スキャモンの発達曲線を見てみると神経系が急激に発達する時期です。
ゴールデンエイジの専門的な技術を習得するための下準備期間とされていて、多面的な運動をするといいとされていますね。
小学低学年の子供たちは非常に高い集中力を持ってますが、長続きせず常に新しいものに興味が持つ時期で、脳に刺激を与えて神経回路を形成すると言われています。
低学年のうちはうまい人のプレーを見ると上達も早くなるので、上級生たちに相手をしてもらいながらバドミントンの基本練習をしていくといいです。
まぁ、ハッキリ言って練習中も集中してるように見えないし、同じような練習をすると飽きやすいですね。
バドミントンの様々な動きの練習をさせながらも、ハードなトレーニングで負荷をかけすぎないことも重要になります。
小学生低学年の試合はサーブが飛ぶだけども勝てたりするので、しっかりサーブ練習にも取り組むといいですね。
まずは小さい子供はバドミントンを楽しむことを覚えればいいと思います。
ゴールデンエイジ
ゴールデンエイジは小学生高学年にあたる9歳~12歳頃で、神経系の発達曲線を見てもほぼ完成に近づいている時期です。
この時期は一生に一度訪れる「即座の習得」とも言われ、スポーツに必要な技術を身に付けるのに非常に有利とされています。
もちろんバドミントンの技術がすぐに習得できるわけではないですが、ネットショットのような繊細な感覚が必要な技術は、小学生のうちに練習しておくと効果が高いということですね。
「1万時間理論」なるものもありますが、1万時間の取り組みの内容は繊細でバランス感覚を要求される技術ほど、小学生と中学生では練習の質が違うものになると思います。
検証することはできないですが「子供は覚えるのが早い。」とか「子供の頃にやったことは今もできる。」など、ゴールデンエイジの理論を裏付けるようなことは日常会話の中にもあると思います。
つまり小学生の時期はバドミントンに必要になる技術を身に付けることに注力した方がいいということですね。
さらに気を付けてほしいのが、バドミントンの技術が身に付きやすい時期でもありますが「間違った技術も身に付きやすい」ということになります。
逆ゴールデンエイジ理論も成り立ってしまうので、バドミントンの基本技術もしっかりと学んで行かないといけないです。
あと小学生の時期は体が出来上がっていない子が多いので、ハードな練習をやりすぎると故障の原因となってしまいます。
ジュニアナショナルの保護者とも話したりしますが、ほぼトレーニング系の練習はやっていないと言っていて、ほぼ僕と同じ考えでしたね。
ただ全国を目指す小学生なら高校生や社会人など、レベルの高いプレイヤーに相手して貰って質の高い練習は要求されますね。
小学生高学年で上の高いレベルを目指すなら基本練習に徹しながら、バドミントンの練習の質を高めていくと言ことが必要になってきます。
ポストゴールデン
13歳~16歳の中学生の第二次成長期ぐらいで、体も成長し呼吸・循環器系が発達すると言われています。
筋繊維うちの持久力に優れた遅筋線維で主に構成されているが、男性ホルモンの分泌が速筋線維の発達を促す時期でもあります。
中学生の時期はバドミントンの技術を磨きつつも、少しずつパワーを高めるトレーニングを取り入れていくといいですね。
逆に小学生低学年に腕立て伏せや腹筋や背筋などの筋力トレーニングをさせても、身体的な成長が伴わないので取り入れても効果は少ないということになります。
もちろん全く無意味ではありませんが筋肉の根幹の筋繊維自体が、まだあまり発達しないので劇的な効果は現れにくいはずです。
ただし、成長期の筋力アップのきっかけ作りにはなりますので、全く効果がないというわけではありません。 ただトレーニングに多くの時間を割く必要はないのではということです。
ちなみに錦織選手が今の知識のまま少年に戻れたなら、ストレッチに時間を使うとのことです。
先日自身のアプリ内で、本田圭佑選手からの質問に回答した錦織選手。
「今の経験値と知識のままで少年時代に戻れるなら、どのトレーニングに時間を使いますか?」という質問に、「ストレッチ」と回答💡
柔軟性は怪我予防には良いことだそう。
皆さんもストレッチを取り入れてみませんか⁉️#StayHome pic.twitter.com/K5Pv0Omlpv— UNIQLO_Ambassadors (@UQAmbassadors) April 15, 2020
中学生や高校生など時期は体が成長にあわせて筋力トレーニングを取り入れることで効果が現れるので、計画的にしっかりと取り組んでパワー向上を目指したいところですね。
まとめ
今回は「ジュニア時期のバドミントンの練習・トレーニングはスキャモンの発達曲線から考える」というタイトルで書きました。
ジュニアプレーヤーの発達段階に応じて練習のメニューを変化させること練習の効果はかなり高くなります。
ただチームで練習する以上は極端にレベル別や学年別に練習内容を変えることは、いろいろと不満が出る原因にもなったりするので難しいですね。
だからジュニアの成長に合わせて練習を変化させる必要があることは指導者だけでなく、保護者などにも理解してもらう必要があると思います。
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